人が生きていく上で多くの方が避けたいと感じ、人生に強い影響を与える心理があります。
それが今回のテーマである『不安』です。
私がカウンセリングやコンサルティングでお受けする相談でも、
・仕事の不安 ・経済の不安 ・将来への不安 ・健康への不安 ・人間関係の不安 etc…
というように、不安に対しての対応を数多くしております。
これらの不安があると、当然心は平静ではいられませんし、
自分自身が持つ本来の能力を発揮することも難しくなります。
不安のない人生を生きれたら…と誰もが思った事があると思います。
そんな不安に対して、私達はどのようにしていけば良いのでしょうか？
不安が私達に訪れた時、人はその不安から逃れようとします。
そして、不安と対極の心理を求め、努力をしていきます。
それは『安定』
そう、人が生きていく上で、安定を求める事は多くの人にとって
意識的かどうかに関係なく、生きる目的の一つとなっています。
一例を挙げるなら、教育においてもそれは顕著に現れています。
『良い学校に行きなさい。良い成績を収めなさい。
大きな会社に勤めなさい。若しくは公務員になりなさい。』
多くの大人達が夢を追いかけることは素晴らしい、と口ではいいながら
実際には子ども達にこの様な言葉を、いざというときに『本音』として伝えています。
これは、
生きていく上での最も大切な要素の一つとして『安定』が不可欠である
という認識があるからこそ、こういった言動になるのです。
では、それほどまでに『安定』は人生にとって必要なことなのでしょうか？
『不安』は忌み嫌われなければ、いけないものなのでしょうか？
その理解のために、安定という言葉が命に、潜在意識にもたらす意味を
理解するところから始めましょう。
安定とは、言葉を変えると『変化しない』とも言えます。
そうです、何も変わらない事こそ『安定』なのです。
ただ。昨日と今日。自分自身に何の変化もない…と感じたとしても、
実際には私達の身体の細胞は新陳代謝を繰り返しています。
安定などしていません。変化は常に起きています。
命は日々新しい細胞を作り続けて、私達を支えてくれています。
そんな命の理（ことわり）を無視して、安定を願う時
私達の命の力は弱くなってしまいます。
私達の潜在意識はその力を大きく失い、動きにくくなってしまいます。
人が自分自身の可能性を発揮して生きようとするなら。
今の自分をより高め、より良い人生を重ねてゆきたいと願うなら。
安定を求める事は全くの逆効果だったのです。
もう一つ例を挙げましょう。
私達は歩行をします。歩きます。
立っている状態から一歩踏み出す時に。片方の足を前に踏み出します。
その際に両足で支えていた荷重は、片足に移ります。
当然重心は不安定になりますが、その不安定があるからこそ、
重心を移動出来るのです。
そして、踏み出した足を進行方向に接地し、そこに荷重させていく。
この一連の動作を歩くと言います。
この歩くという動作には『不安定が不可欠』です。
立ち止まっている時は、安定をしています。揺らぐことはありません。
その代わりに前に進む事も出来なければ、後ろに下がることも出来ません。
自分が移動出来るのは、片足を地面から離した不安定な時だけなのです。
その『不安定』こそが実は、『成長』なのです。
そうです、安定＝変化しない、であるように。
成長＝変化であり不安定 なのです。
成長のために、変化という不安定を受け入れること。
不安な気持ちが上がってきたら、自分自身に変化が訪れている証です。
なんの変化もなければ、不安を感じるはずもないですから。
そんな変化が訪れている事こそ、成長している時、とも言えるです。
この事を意識的に理解する事が、不安の恐れから解放される大切なポイントになります。
不安が来たら、『成長の証だ。OK！！』と思える様になれば、しめたモノです。
過去に相談を受けた方でも、営業で大きな成績を出されている方から、
相談を受けたことがありました。
ガムシャラに頑張り、素晴らしい成績を上げた。
ただ、上司からその成績を続けてくれ、頼むぞ！と言われた頃から
プレッシャーを強く感じる様になり、成績は一気に下降線を辿って…という相談でした。
このケースは、結果を考えずに頑張っていた時には無かった
『この成績を安定して、続けなければならない…』
という想いが、この方から力を奪ってしまったのです。
その方には、今日の事実を伝えて意識的に理解をして頂くと同時に
潜在意識の中にある想いについても、しっかりとケアをしたところ
以前以上に営業の成績をあげられて、今も活躍されています。
『安定』を求める事が、どういう意味を持つか
大変分かりやすいと同時に、誰もが同じ様な経験を一度はするような内容です。
『不安は成長の証！大丈夫！！』
と不安を感じたら。安定を求めがちな自分がいたら。
自分に言ってあげて下さいね。
毎日の心が、出来事がきっと変わってきますよ。
